小説のように (新潮クレスト・ブックス)と木星の月に続く、アリス・マンロー3作目読破。上記二冊に比べ、イラクサは読み易い印象です。それは以下の2点の理由によります。まず1点め、形式的なこととして、改行などが増えて適切な間隔が空いていることが挙げられます。上記二冊はとにかく文字が詰め込まれていて、一見して読む気がダウン気味になりますが、イラクサではそれが改善されている傾向があります。2点めとして、作風が変化したといいますか、上記二冊に比べ内容が明るめです。なので、タイトルに「柔らかな筆致」と付けました。あくまでアリス・マンローの作品としては、ですが。それと、ちょっと珍しいな、と思ったのは、本書の最後に収められているお話「クマが山を越えてきた」がほぼ男性(グラント)目線で綴られています。 女性の視点が多いアリス・マンローとしてはちょっと変り種ですが……男性の目線を通して女性の気鬱を書いているというか、やっぱりアリス・マンローの関心の中核は女性の人生とか女性の感情なのだな、と思いました。(そもそも人生における女性の悩みの種は男性の愛情不足だったり、裏切りだったり、横暴だったりすることが多いですけれども)表題作の「イラクサ」は主人公とマイクとの関係を主軸に女性同士の友情の儚さというか人間関係の当然の変化と偶発的な不運を描いていました。『日常の中で、意図せずに起こる大きな不運と取るに足らない不運』がテーマなのかな、と思いました。イラクサと上記二冊を含めたアリスマンロー三冊の総括として、一番読み易いのが「イラクサ」ですが、「イラクサ」と「木星の月」はほぼ日常系のお話です。日常のそこここで感じる小さな感情の動きや変化などなど。そして「イラクサ」が一番気楽に読めます。しかし、「小説のように」が物語の起伏が一番激しく、事件らしい事件が起こるので、この三冊の中では最も面白い(明るい作風ではないですが)と感じました。 イラクサ (新潮クレスト・ブックス) 関連情報
子ども用に購入!大変気に入ってくれました。レインボーデザインのポケットは子どもには使い方が向かないかも知れませんが、大切な物はポケットに入れないように説明したので多分大丈夫。 関連情報
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届いてとても嬉しかったのですが、、、汚れがありました、。洗濯します。 【H-H-W】レインボーカラー 2WAY ワンショルダー ボディー バッグ 斜め掛け から リュック にも変身しちゃいます 関連情報
私がこれまで読んで来たマンローの小説に、駄作は一本もありませんでしたが、これは恐るべきことのように思われます。マンローの小説は、そのすべてが短編、あるいは長くても中編なのに、まるで長編小説のような長いリーチとしたたかな重量、そして鋭い劇性と起伏を内蔵しているのです。またマンローの小説は、プロットの展開も登場人物の行動のみならず内省や心理の動きもきわめて映像的であり、すべての局面が「映画のよう」に推移するのが特徴のひとつです。流行作家に成り上がった旧知の小娘に私事を書かれたヒロインが、あえてサインをしてもらいに書店へいく表題作「小説のように」、同じく年輩のヒロインが、たまたま交通事故に遭った少年に人工呼吸を施すシーンがとりわけ感動的な「次元」、ロシア人で初めての女性の大学教授になった数学者にして作家のソフィア・コワレフスカヤ最後の数日を鮮やかに切り取った「あまりに幸せ」などを読んでも、素晴らしい映画になること請け合いです。だからもしも彼女がみずから声明しているように筆を折ったとしても、これから私たちには映画になった彼女の原作を鑑賞するという楽しみが残されているのです。彼女がそれを許可すれば、の話ですが。さて粒揃いの傑作が並んだ本書のなかで、私の心を捕えた一作は「子供の遊び」でした。「天使のように無邪気で純真な」子どもの心の奥底に棲息する悪魔が、ふとした気まぐれから、自然に、いともたやすく、どのように恐るべき事件を引き起こすか。そしてその罪がいかにして忘れられ、いかにして突如蘇ってくるのかを、これほど淡々と、しかも真に迫って描き尽くした、それこそ身も心も戦慄させる文章を、私はこれまで目にしたことはありません。いかにして大木を切り倒すかという技術論から、「偏微分方程式についての理論」まで、小竹由美子さんの翻訳は今回も冴え渡り、さながら著者の日本人の分身のようです。 小説のように (新潮クレスト・ブックス) 関連情報
アンリマンローさんの世界にはまり切っています。その独特な作風に満足です。 ディア・ライフ (新潮クレスト・ブックス) 関連情報