ウィキリークス 商品

ウィキリークス 「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会

「統治」、「オープンガバメント」といった概念について哲学・社会学・経済学など様々な側面から書かれた論文集。
個人的には思想史的な流れをくんだ3章と4章、法哲学的見地を盛り込んだ7章が従来の興味と重なっているが、論者の多様性が自分のこれまでの観測範囲外からの面白い話が”良いノイズ”として紛れ込みやすくなっているので、一冊の本としてはお得な印象を持つ。
特に、これは「あとがき」で編者の塚越健司も書いているが、学者からビジネスの実務家、批評家など幅広いジャンルの書き手が名を連ねており、この一冊だけでもそれなりに多角的視座を取得できるような作りになっている。
例えば「震災時のソーシャルメディアによる有用性評価」という点では、5章は比較的良い方向で捉える一方、6章や9章では否定的に書かれている。そもそもネットが利用できる環境に”被災地”があったのかということについては、震災から少し経過した後で頻繁に語られるようになったが、この辺の評価の差も出自や視座の多角性を象徴しているように思う。

ただ、そのような良い点と表裏一体の話ではあるが、もう少し読み込んでみたいようなモノも中にはあり、これは今後の各筆者の活躍に依るところだと思う。

飽きっぽい性格だが一気に読めた。ただ、.reviewが事実上停止状態なのが個人的には悲しい。それは、.reviewという媒体そのものがオープンガバメント性を有した、これまでの評論系同人誌には無いものだと感じていたからだ。
本書の元は、その.reviewの勉強会だという。そのフィロソフィーは別な形で継承されることを(偉そうに)期待しています。 「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会 関連情報

ウィキリークス ウィキリークスの衝撃 世界を揺るがす機密漏洩の正体

 2010年に世界をもっとも揺るがせたパワーといえば、なんといっても「ウィキリークス」であろう。
 米国の軍事外交文書の暴露情報サイトとして世界中に衝撃を与えたウィキリークスは、米国だけでなく「世界の外交にとっての9-11テロ」(イタリア外相)となった大事件を引き起こし、その余波は現在でも止まることなく続いている。
 米国を筆頭に、ウィキリークスに敵意を抱く勢力とウィキリークスとのあいだのインターネット戦争は、日本人の多くが知らないところで激しく攻防戦を繰り広げているのである。日本がらみの機密文書はいまだ公開されていないだけで、すでにウィキリークスの手にあるのにもかかわらず。

 本書は、このウィキリークスのもつ国際政治に与えたインパクトについて、その意味について日本人が考えるための手引きとして書かれたものだ。「日経ビジネスオンライン」に連載された原稿を一書にまとめたものだが、あらためて通読してみて思うのは、インテリジェンス分析の観点からみても興味深い内容になっていることだ。

 著者は、米国を中心とした外交、安全保障、インテリジェンス研究の専門家だが、本書では立場によってウィキリークスに対する見方が異なるのは当然という前提のもと、善悪の判断を一方的に下すのではなく、さまざまな角度からなされた分析情報を提供することによって、読者自身が考えるヒントを与えている。
 内容は、ウィキリークスの創始者のジュリアン・アサンジ、そして米軍内部の機密情報を漏洩したイラク駐在のインテリジェンス分析官ブラッドリー・マニングという二人の主要プレイヤーのプロファイリング、結果として大規模な情報漏洩が発生させることとなった「9-11テロ」以降の米国のインテリジェンス・コミニティ内部の「情報共有化」という背景、そしてウィキリークスが暴露した機密情報を使って読み解くイラク戦争・アフガン戦争・中東情勢の背景。さらに、「なぜウィキリークスの息の根を止められないのか」というインターネット技術にかんする解説が、背景説明として加えられている。

 米国一極中心の世界が終わったのは、米国のパワーが衰えたからというよりも、ウィキリークスもその一つである、インターネット時代の「非国家アクター」の存在が急速に増大化し、拡散しつつあるからだ。米国もそのアクターの一つにしか過ぎない存在となってしまったのである。いわば「何でもあり」の時代に突入した現在、旧来の国家観にもとづいた国際政治学が急速に説得力を失っているのも当然であろう。

 「無極性時代のパワー」であるウィキリークスは「時代の申し子」である。いまだ公開されていない日本関連の外交文書や、日本企業がらみの機密文書が公開されたときに備え、知的想像力を鍛えるための必読書として一読することを薦めたい。 ウィキリークスの衝撃 世界を揺るがす機密漏洩の正体 関連情報

ウィキリークス 世界金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか? (双葉新書)

東京でOLをしています。

最近、上司が「不況だ不況だ」と言って酒席で「ユーロが…」「ギリシャが…」とか「日銀は何やってんだ」とかよく絡んできます。
何も分からないので、そのたびに適当に相槌を打っていたのが悔しくて思わずこの本を買ってしまいました。

読んでみて(1週間かかってしまいましたがw)、世界経済がとんでもないことになっていることがよくわかりました。お金ってドルで持ってるのと円で持ってるのとでは、全然価値が違ったり、そもそも為替相場のせいで同じ100万円でも本当の価値は毎日変化しているんですね(@_@;)!!

世界がこんな状況で、見通しが暗いようなので、金地金をへそくりで購入。これから経済ニュースにも興味が持てそうです!!
満点をあげたいのですが、難しい用語とかはwikipediaを引かなければならなかったので4点にしました☆☆☆☆ 世界金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか? (双葉新書) 関連情報

ウィキリークス 全貌ウィキリークス

邦訳は2011年2月10日リリース。オリジナルも2011年リリースとなっているので相当な短期間で翻訳されたと思える。短期間にもかかわらず非常に名訳で、衝撃的な内容を見事に伝えてくれる。

今、チュニジア、エジプトそしてリビアで発生してる事象をとらえていく上で欠かせない2つのキーワードがあると思う。それは『ウイキリークス』と『フェイスブック』だ。各々まったく異なった特徴を持っているが1つの重要な共通点があると思う。それはどちらも『実名』で明かされる、という点だ。今まで『仮想世界』扱いだったネットの世界が、『リアル』な世界へと変貌しつつあるということだ。『実名』と『エヴィデンス』は正にリアルな世界のものだ。今までインターネット・スラングで『IRL』つまり『In real life』と表現されていた世界とネットワークの世界が同一のものに成りつつある。

そういうウィキリークスのファンダメンタル分析をしてくれるこの本は、最近読んだ本では飛び抜けて面白い作品である。筆者のマルセル・ローゼンバッハとホルガー・シュタックはいずれもドイツにあるヨーロッパ最大の発行部数を誇るニュース誌『シュピーゲル』の記者・編集局長だ。このシュピーゲル社とジュリアン・アサンジとの関係はこの本の後半部分に登場するが、マスコミの鏡とも言える見事な語り口でウィキリークスの全貌を伝えてくれる。

そしてウィキリークスの最大の敵はやはり矛盾と嘘とコントロールに腐ったアメリカなのがよく分かる。ある意味、ここまでのウィキリークスの歩みというのは、アメリカとの戦いだったことも理解できる。ジュリアン・アサンジが他の人間と違って飛び抜けて凄いと思うところは、そういうアメリカがあらゆる劣悪な手段で攻めて来ることをあらかじめ想定している点だと思える。そしてこの戦いはまだまだ続くと思う。

そして思うこと。デジタル機器の廉価化と個人個人へのパーソナルな浸透は世界を今変えようとしている。アメリカはエジプトを失い、バーレーンを失い、リビアを失い、既存の人的パイプが無価値になり、中東・アフリカでの地位を失うだろう。そしておそらく中東諸国やアフリカ諸国はイラクのような国になっていくのではないだろうか。そういった世界の動向も『ウィキリークス』と『フェイスブック』が正確に伝えてしまう。そういう時代が来ている。

この本の362ページに登場する国連の世界人権宣言第19条をここに書き留めておきたい。・・・『すべての人は、意思及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由ならびに手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報および思想を求め、受け、及び伝える自由を含む』。 全貌ウィキリークス 関連情報

ウィキリークス ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争

ウィキリークスに最も早くから接触し、外交公電のスクープを連発した英ガーディアン紙によるウィキリークス本。ちなみにガーディアン紙とは、中道左派・リベラルを標榜しており、調査報道で名を知られる名門新聞社である。

◆本書の目次
1  秘密の館
2  技術兵の「正義」
3  ジュリアン・アサンジ
4  ウィキリークスの誕生
5  「アパッチ」のビデオ
6  ラモとの対話
7  取引
8  作戦会議室
9  アフガニスタン戦争報告書
10 イラク戦争報告書
11 公電
12 世界一有名な男
13 パートナーの不安
14 嵐の前に
15 公開日
16 史上最大の機密漏洩
17 ウォンズワース獄舎のバラッド
18 ウィキリークスの行方

ウィキリークスと協働関係にあった新聞社による本は、独シュピーゲル誌による『全貌ウィキリークス』もあるのだが、そちらが客観的な立場で描かれているのに対し、こちらは自社自身も一人のプレーヤーとして主観的に描かれており、表現も生々しい。これは、最終的にウィキリークスと対立関係に陥ったということによる影響もあるのかもしれない。多少センセーショナルな書き方をしているので、良くも悪くも、週刊現代の記事を読んでいるかのような感覚だ。

ウィキリークスに関して保持している情報としては、独「シュピーゲル」誌とほぼ同じであると推測されるが、最も興味を惹かれるのが米外交公電のリークを行う際のジュリアン・アサンジとのやり取りである。互いに協力しあい、キュレーション・ジャーナリズムとでも言うべき新しい道を見出しながらも、ジュリアン・アサンジの必要以上に介入してくる姿に対立構造が深まってくる部分の記述は、本書ならではのものである。

これまでに国内で発売されているウィキリークス本は、ほぼ全て読んできた。いずれも読み応えがあったのだが、どこか自分事化できないのも事実である。幸か不幸か、日本という国に与えたインパクトがそれほど大きくないからであろう。この先、日本を大きく揺るがすような出来事が起こって欲しいような、欲しくないような、実に複雑な気持ちである。そしてこの二面性こそ、ウィキリークスの本質なのだろう。 ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争 関連情報




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