モリエール 商品

モリエール 病は気から (岩波文庫 赤 512-9)

自分は病気だと思い込んでいる薬漬けで浣腸マニアのアルガンは、後妻にそそのかされて、娘を無理やり医者の息子と結婚させようとしていた。このコメディの悪役は邪魔な娘を追い出してアルガンの遺産を一人占めにしようと企む後妻であり、後妻とぐるになって馬鹿息子を送り込もうとする医者である。アルガンは一種のペテンにかけられているのだが、後妻は死んだ振りをしたアルガンに引っかけられて、あっさりと本性を見破られてしまう。天才ペテン師タルチュフとは、およそ比較にならないちょっとした悪女というところか。ここではむしろ、モリエールの医者嫌いの精神が全編を支配している。宮廷医師になりたいですか?と訊かれた医者は、病気を治さねばならない宮廷医師にはなりたくない。決められたセリフだけ言っておけばよい庶民階級相手の医者をやるに限るなどとしゃあしゃあと述べている。「恋の医者」「心ならずも医者にされ」等、モリエールには医者嫌いをテーマにした作品が多い。しかし「病は気から」を書いた頃、モリエールは既に重い病気に苦しめられていたようだ。最期まで藪医者を笑い倒していたモリエールだが、これも気の病であって欲しいなとの思いにはとらわれたのではないだろうか?  病は気から (岩波文庫 赤 512-9) 関連情報

モリエール 国立コメディ・フランセーズ モリエール・コレクション DVD-BOX <白 Blanc>

フランス演劇の古典を、理解しやすい字幕付きで一挙に見ることの出来るこのシリーズは、海外テレビドラマを見るかのように気軽に見ることが出来る素敵なボックスである。本でモリエールを読んだことのある方は、臨場感あふれる映像により、書かれていた言葉がより活き活きと伝わるだろう。何より、フランス語のリズム感、抑揚、言い回しが魅力であり、フランス語が分からなくとも、各役者表現力とともに引き込まれてしまう。フランス語の学習者なら尚更だ。入手しやすい価格となっている今、演劇、フランス文学、フランス語、フランスの文化に興味がある方には、見る価値のあるものだと思う。 国立コメディ・フランセーズ モリエール・コレクション DVD-BOX <白 Blanc> 関連情報

モリエール 人間ぎらい (新潮文庫)

 フランスの大喜劇作家・モリエールの代表作。この作品が読み初めだったのですが、一気にファンになり、比較的入手しやすい作品は全て購入して読みました。そのぐらい面白かったです。400年前の作品ながら、現代人が読んでも違和感はほぼありません。非常な普遍性を持った作品です。  誠実に生きようともがくアルセストを見ていると、人間と、人間の世の中と言うものが、いかに正義や悪で割り切れない部分を多く持っているものなのか、いかに世界が道義ではなく、欲望で回っているものなのか、ということを改めて痛感させられます。若者もそうですが、詩人や作家、画家などの芸術家は、多かれ少なかれ皆アルセストではないかと思います。ドン・キホーテの性質にも近いものがある気がします。この悲喜劇がまた、絶妙のバランスとセンスで仕上げられている。モリエールの劇作家としての手腕に感嘆せずにはいられません。 ちなみに、モリエールと同じフランスの作家・スタンダールは、「アルセストにはあまり頭が良くないという重大な欠点がある。<中略>せめて少しでも何か良いことをする為に、隠遁せず、出来るだけ良いことのできる少数の誠実な人々と同盟を結ぶべきであった」(『日記』より引用)と言っています。ジャン・ジャック・ルソーは『演劇について』の中で、アルセストを熱烈に擁護しており、彼のような人物を嘲笑してはならないと書いています。そして彼を喜劇の人物として描かなくてはならなかったフランス演劇の環境と、モリエールの心情を忖度しています。文明社会の根本的な業の深さを見つめ「自然に帰れ」と唱えた彼の本領を伺える批評と言えると思います(最近、民主主義について再考に必要を感じてルソーを読みましたが、彼の思想の切れ味と破壊力の衝撃は、この十年読んできた本の中でも三指に入るものでした。文明社会に浸かりきっている者が読むと恐怖を覚えるくらいです。-2015年10月追記)。 実際、心ある芸術家の多くは、そのように志を同じくする人びとと団結して、人類の利己主義と戦ってきたのですから、アルセストの理想と精神は(その若さのためか)まだまだ鍛えられずに打たれ弱く、また真剣な思索が不足しているといえるでしょう。 現実世界で正義を貫く事がどれほど大変なことか。アンデルセンが言うように「栄光の道は茨の道」なのですから。 無数の批判や迫害、冷笑や嘲笑に晒され、巨大な困難にぶつかろうとも、正義の旗を掲げて、理想という見果てぬ夢を見続けることができる強靭な精神力と深い覚悟、また楽観主義とユーモアの心無くしては、その茨の道を歩み通すことはとても叶いません。更に、スタンダールが指摘する通り、「鋭い知性」は非常に重要な能力であって、これを身に着けなければ当然、鵜の目鷹の目で獲物を狙う頭の回る嘘つきや恥知らずから、己自身も周囲の善良な人たちも、守ることは出来ません。 それにしても、アルセストの欠点をこのように指摘するスタンダールからは、己の能う限りの力で誠実に人生を生きようとする真剣さが伝わってきて、感動させられます。 モリエールは順風満帆とは程遠い人生を送ってきた苦労人です。人生の裏も表も知り尽くした彼が描いた作品だと思うと、ここに表現された人間劇にまた一入の感慨を抱きます。 「人間というものをもっと知りたい!」と思っている方には絶対おすすめの一冊です。  人間ぎらい (新潮文庫) 関連情報

モリエール タルチュフ (岩波文庫 赤 512-2)

 皆さんが書いていらっしゃる通り、本書「タルチェフ」を始めとして、モリエールの作品は現代人が普通に読んで普通に面白い「いまだに新鮮な」作品です。それほど、人間の普遍的な性質を鮮やかに描き出しているのです。 戯曲ですので、地の文がなく全て台詞ですし、その台詞も凝った表現ではないので読みやすいです。シェークスピアよりも遥かに読みやすいです(でもシェークスピアは是非読んでいただきたい)。ページ数も少ないものばかりです。これを読まないなんて損です。 「タルチェフ」は、偽善者を描いた喜劇。偽善的行為を行う聖職者や権力者への風刺や弾呵は、ローマのキケロやイタリアのダンテ、ボッカッチョなどによっても告発され、描かれていて、言わば正義の文学者の伝統ともいうべきものです。そして、正義は弾圧されるもの。モリエールの「タルチェフ」も、ルイ14世時代の聖職者たちに文句を付けられ、上演中止にされてしまいます。 しかし、絶対王政の時代から幾星霜と経た現代、フランスの喜劇作家モリエールの芳しい名前は世に遍く知られ、彼の勇気ある芸術は不朽の月桂冠によって飾られているのです。 繰り返しますが、これを読まないなんて、損ですよ!! タルチュフ (岩波文庫 赤 512-2) 関連情報

モリエール 国立コメディ・フランセーズ モリエール・コレクション DVD-BOX <赤 Rouge>

フランス演劇の古典を、理解しやすい字幕付きで一挙に見ることの出来るこのシリーズは、海外テレビドラマを見るかのように気軽に見ることが出来る素敵なボックスである。本でモリエールを読んだことのある方は、臨場感あふれる映像により、書かれていた言葉がより活き活きと伝わるだろう。何より、フランス語のリズム感、抑揚、言い回しが魅力であり、フランス語が分からなくとも、各役者表現力とともに引き込まれてしまう。フランス語の学習者なら尚更だ。入手しやすい価格となっている今、演劇、フランス文学、フランス語、フランスの文化に興味がある方には、見る価値のあるものだと思う。 国立コメディ・フランセーズ モリエール・コレクション DVD-BOX <赤 Rouge> 関連情報




Loading...


ここを友達に教える