大友良英 商品

大友良英 シャッター商店街と線量計 大友良英のノイズ原論

 権力者サイドからであっても、脱原発の側からであっても、オキマリの「〇〇論」からはわからない、雑談、葛藤、ノイズから見えてくる福島の人々の現実と未来。 テーマは、ふたつで、ひとつ。全国展開のショッピングモールやチェーン店進出によって、つぎつぎに閉店に追い込まれた地元商店。そして、原発事故後の福島の人々。原発は地方を圧倒する中央資本そのものだった。 著者の大友さん。ごぞんじ、「あまちゃん」の音楽担当者。でも、この本は、あまブレイク前の2012年末発行。福島高校出身。卒業後は福島を離れていたが、原発事故以来、足繁く通う。「カーネーション」の脚本家・渡辺あやさんや、福島県いわき市出身の若手社会学者「フクシマ論」の開沼博さん、小説家の高橋源一郎さん、福島の果樹園の安齋伸也さんとの対談がおもしろい。大友さんの自伝的な短い小説も掲載されている。福島県の人々が事故や避難や除染やこれからのことで、また、大友さんがご自身と福島とのことで、わりきれずに悩んでいる姿が、そのまま出ているのが、現実に即していて、本当っぽい。 たとえば、放射能のことばっかり考えていては精神的にまいっちゃうはずなのに、いつも考えていないといけないと言われたり、なぜ避難しないのかと責められたりして、福島の人々が傷ついてしまっている、という大友さんの指摘。 職人の手作りのものから大量生産のプラスチック製品に変わってしまったという渡辺さんの言葉を受けて、21世紀は鉄腕アトム大阪万博が描いた未来ではなく、「携帯とシャッター商店街」、そして「チープなもの」に囲まれる時代になってしまった、と大友さん。 避難や除染についての議論にも、地元の人の顔が見えてこない、とは開沼さん。イオンやブックオフやデニーズロイヤルホストの進出によって、町固有のお店のシャッターが閉まってしまった、とは大友さん。どちらの場合も、中央が地方を見えなくしている。 意味はノイズの洪水の中にある、ノイズがない脳はありえない、社会のノイズは弱者、それがないと社会は滅ぶ、とは高橋さん。原発は地場産業、地元企業、地方の顔というノイズを、大型店は地元商店、地元飲食店というノイズを消し去ってしまい、その結果が、この本のタイトル。 けれども、望みが全く絶たれたわけではない。 福島で果樹園をやっていて、今は北海道に住む安齋さんは、福島を捨てたのではなく、今は畑を休ませているだけ、ここ数年ということではなく、ずっと長いスパンで考えたいと語る。現に果樹園には、樹齢百年の梨の木がある、と言う。 シャッター商店街と線量計 大友良英のノイズ原論 関連情報

大友良英 MUSICS

今年(2008年)は、夏に大友良英「MUSICS」が出版されて、秋に保坂和志「書きあぐねている人のための小説入門」が「創作ノート」付きで文庫化された、記念すべき年だ。どちらも、それぞれ音楽と小説について、一見とても当たり前と思われるところから話をはじめて、瞬く間に本質に突入していく(というか、本当は、一見とても当たり前と思われるところに問いを設定できることが、本質に迫る能力ということなのだろうけれど)。表現することとは、本質を問いつづけることだ。この2冊が、今後、何かを表現したい人のバイブルになるのではないか、という予感がする。 MUSICS 関連情報

大友良英 あまちゃんLIVE 〜あまちゃん スペシャルビッグバンド コンサート in NHKホール〜 [Blu-ray]

NHKで放送した「あまちゃんLIVE」と同じようなものだと思っていましたが、これは凄い。ほとんどの曲にアレンジが施され、もはや別物と言っても良い曲もかなりあります。特に「あまちゃんクレッツマー」で見せるサックス、トロンボーン、パーカッション、ドラム等のソロパートからの流れは圧巻!あまちゃんのサントラで聴いたときの何百倍も格好いいです。また、ラストのあまちゃんオープニングテーマでは、いつ終わるのか予想もつかないアドリブ感満載の演奏も最高です。ちなみにCDもDVDも買った者の感想ですが、買うなら絶対にDVDのほうがいいです。収録時間の関係なのか、CDでは大友さんの軽妙なMCがまるっきりカットされてますし、なにより一流のミュージシャンの演奏が映像で観られますから。何はともあれ、あまちゃんの音楽が好きな人には一度観ていただきたい、素晴らしいDVDです。 あまちゃんLIVE 〜あまちゃん スペシャルビッグバンド コンサート in NHKホール〜 [Blu-ray] 関連情報

大友良英 学校で教えてくれない音楽 (岩波新書)

「あまちゃん」の人。・大熊ワタル、上原なな江・さや(テニスコーツ)・沼田里衣、雨森信のゲストをむかえた三回のワークショップの内容と、大友さんの音楽的自叙伝と、phew ・さや との鼎談で構成。「学校の音楽室にはバッハ、モーツァルトベートーベンの肖像画はあっても三波春夫の肖像画はない。なぜでしょう?三波春夫は立派な音楽家ですよ? これまでの「音楽」という概念は音楽全体をとらえてないのでは」というところから始まり、(参加者といろいろ音を出して遊んだ後、)「音楽はリズム、メロディー、ハーモニーの三要素で出来ている、と学校で教えられますよね。僕らが最初に皆でやってみたのは、そんなことは全く考えずに、とりあえず目の前にある楽器で「やってみたら、こんな音になりました」というものです。でも、そこにも音楽の喜びの原形はありますね。実はこれ、すでに簡単なルールを共有してるっていうことだと思います」というところにいき、やがて「音痴は無い」(さや) 「音痴という概念を持ち出す音楽のあり方への根本的な疑問がある」(大友)というところに行き着く。個人的には、phew さんが、エルビス、マリアカラス、水原弘、坂本九、パンク、ジャズ、ボーカロイドを語ったところがオモロかった。 学校で教えてくれない音楽 (岩波新書) 関連情報

大友良英 山下毅雄を斬る

カバー集、Remix集、トリビュート、この類の「企画モノ」の95%以上はクズばかりだけれども、これは違います。大友良英の山下毅雄に対する真摯なリスペクトが溢れつつ、それでいて、大友良英の音楽になっています。希代のPOP職人、山下毅雄の傑作を現代先鋭Jazzシーンの中心人物、大友良英が見事に料理しています。POPとアヴァンギャルド-相反する二つの要素が矛盾無く、各曲に詰まっている大傑作。ベストトラックを選ぶのは不可能。全曲傑作で、捨て曲なしです。じっくり聴き込んで大友良英の高度なアレンジ能力を堪能するも良し、聴き流して山下毅雄のPOPセンスに感銘を受けるもよし。とにかく買って損はありません。星が5つじゃ足りません。ちなみに大友良英produceさがゆきsingsの中村八大トリビュート『see you in a dream』もオススメです。 山下毅雄を斬る 関連情報




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