平谷美樹 商品

平谷美樹 怪談倶楽部 怨恨(えんこん) (竹書房文庫)

全26話です。
ちなみに《怪談倶楽部》とは著者が在籍する、今からおよそ10年前に発足した怪談会らしい。会員の多くは岩手に住む人々だが例外もあり。
そこで語られるのは実話、伝聞、都市伝説、創作まで様々である。創作というのは話の真偽を探っていないため、その可能性があるもの、作者が「これは作ってるな」と疑っているもの、と大まかに分けてこの2種類である。
しかし、この本に収録されている話には、私的には「創作臭さ」は感じられないため実話である思っています。作者が創作だと思った話を進んで入れるとも思えませんし。ちょっと理由としては弱いかもしれないですが(笑)

前作は全体のおよそ1/4がひとつの建物にまつわる話で怪談に偏りがありましたが、今回は特に話のテーマにこだわらず収録されています。
あと、前作の『怪談倶楽部 廃墟』に収録されていた話に関わる話が幾つかあるので、前作も併せて読むことを強くお勧めします。

個人的にオススメは

ケンジロウの携帯か?
立入禁止の家
御利益
縫いぐるみ
《高楼館》側溝
組木細工
クイズ番組の電話
幽霊マンション

です。〈ケンジロウの携帯か?〉〈立入禁止の家〉〈クイズ番組の電話〉は、こういう話が大好きなのでとても楽しめました。
著者があとがきで書いていた〈ゆきじさま〉という話を知らないので、どんな話なのかすごく気になってます。
怪談倶楽部 怨恨(えんこん) (竹書房文庫) 関連情報

平谷美樹 霊は語りかける―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ)

 実は、怖い話が好きで筆者の百物語は全巻所有しているのですが、昨年「第十夜」を出版し、今年は本書になり、「百物語」をタイトルにしていません。

 本文にもあるのですが、今後の展開を思案中とのことで、本書はその一つのパイロット版ともいうものになっています。

 内容は、過去の百物語と同様、はっきりとした幽霊目撃談から、怪現象遭遇談、何かはっきりしないがながら感じる違和感体験談まで筆者の収集した話が33話収録されています。33話と言っても、第28話の「釣り人夜話」や第32話の「編集者三題」のように、内部が更に幾つかのエピソードで構成されているものもあります。

 語り口などは過去の「百物語」のものとそれ程変わった印象は無く、淡々と現象だけを紹介し、余り脚色を加えないスタイルが踏襲されています。
今回の様に百話完結で無くても、毎夏新しい話が読みたいというのが私の気持ちですが、皆さんは如何でしょう?
 
  霊は語りかける―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ) 関連情報

平谷美樹 怪談倶楽部 幽魂 (恐怖文庫)

シリーズ三作目です。
全二十八話から成っており,あえて虚構話も除外しない作りになっているのは従来通りです。また,〈高楼館〉のように,第一作目から続いている,いわば連作も含まれています。
そして,全シリーズに共通する〈まえがき〉は,あたかも「異界へ通じる扉」の役割を担っているかのようです。

個人的に印象に残ったお薦めは―

○〈油絵〉…「絵」をモチーフにした怪談はよくありますが,本作は,最後の最後で危機を切り抜けるスリルがたまりません。
○〈仮面の履歴〉…一読したあとは,それほど印象に残らなかったですが,〈あとがき〉で触れられている「後日談」を読んで,じわりとした怖さを感じました。「遺書」の内容も気になるところです。
○〈読んだんだけどさぁ〉…ある意味では,今回の白眉かもしれません。読者をして,靄がかかったような混迷,そして早く続きを知りたい苛立ち,を感じさせます。著者も〈あとがき〉で,「少々厄介な話が転がり込んできた」とおっしゃっているほどです。
○〈座敷童三題〉…一般にイメージされている座敷童とは異なる,怖い一面を垣間見せてくれます。
○〈ニキビ〉…これを読んだ後,僕は,昔読んだ水木しげる氏のマンガを思い出しました。それは,少年の体内から木の芽が生えてくるという話です。
○〈落ちてきたモノ〉…本作の最終話です。彼女が体験した理不尽さ,また結末の唐突さと相俟って,続きを知りたい衝動に駆られます。

今回は,宇宙人や妖怪を想像させる話はほとんどなく,霊にまつわる話が中心です。その意味で,既刊よりも一層「怪談」らしさを感じます。
また,「続き」を期待させる話もあり,続刊が楽しみです。〈まえがき〉の口上によれば,結構な数の話が著者のもとに集まっているはずなのですが…。

著者の体調も懸念されるところなので,読者としては,ゆるりと新作を待つことにしましょうか。 怪談倶楽部 幽魂 (恐怖文庫) 関連情報

平谷美樹 妖しい怪奇譚―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ 2-12)

 表題については難儀しているのを今年も感じます(実録怪談集のタイトルを残しているのが百物語からの繋がりを感じさせますが)。

 今年の収録話数は37話です。前著霊は語りかける―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ)と同様1話1エピソードのものもありますが、1話数エピソードのものが多いです。
今回は珍しく慰霊の地に肝試しにでかけ不遜な行為をしてから何度も事故に逢い遂には悲劇的な最後を迎える第31話「ばちあたり」のような話もあるものの、基本的には不思議な出来事を脚色も解釈も加えずに紹介してゆくスタイルは従来のスタイルを踏襲しています。

 今年の作品には肉親や親しい友人を失った後に起こった不思議なエピソードを遺族が故人に結び付け癒しを得るというエピソードも多い様に思います。しかし、これは「あとがき」に述べられているように筆者がたどり着いた心霊現象の持つ重要な意味に関わりがあります。
(「あとがき」には少し残念なお知らせもあります。それをレビューの表題に反映させました)

 正直あまりぞっとする話は多くありません。従って筆者の過去の作品をぬるいと感じた方の評価は低いと思いますし、その方にはお勧めできませんが、私は筆者のスタンスが好きですので、この評価にさせて頂ます。 妖しい怪奇譚―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ 2-12) 関連情報

平谷美樹 丑寅の鬼: ゴミソの鐵次 調伏覚書 (光文社時代小説文庫)

平谷美樹は、隔月刊1年半の「風の国」全10巻をよむなかで、
調伏覚書に出会い、さらに鐵次から百夜に広がってきました。
江戸では感じる力があるから物の怪が見えるのか
物の怪がいるから江戸では真言の威力があるのか 丑寅の鬼: ゴミソの鐵次 調伏覚書 (光文社時代小説文庫) 関連情報




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