YAKSA 全7巻 【コミックセット】(ジャンプコミックス)
90年台前半から月刊ジャンプに連載。全7巻。北斗の拳然とした近未来風の舞台。普段はおとなしそうな少年賞金稼ぎが、いざという時には鬼の形相になってバッタバッタと敵を斬り捨てる。と、書くとありがちなバイオレンス漫画のようだがヒロインのソーニャという名前をドフトエフスキーの『罪と罰』からとってしまうような少年漫画誌にあっては若干異質な作家で周辺人物の造形やセリフに、独特の暗さや奥行きを感じる。暗め、怖め、深めの三拍子そろったシリアスアクションで特に中盤以降は、一枚絵の美しさにもハッとさせる才能を見せる。日本刀による剣技の美しさを描いた漫画としては明らかに傑出している。これから盛り上がるという中盤に作家の病気による大きな中断があって完結までに画風の変化が激しい。後半もっと思うように描ききれていれば傑作になっていたかもしれない。才能は間違いなくあると思うし、個人的にも大成してほしかった作家の一人だが今のところこのヤシャが代表作のようだ。こういう隠れた佳作がゴロゴロある所に日本の漫画の底力を感じる。 YAKSA 全7巻 【コミックセット】(ジャンプコミックス) 関連情報