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松沢成文 JT、財務省、たばこ利権 ~日本最後の巨大利権の闇~ (ワニブックスPLUS新書)

この本は、「たばこ事業法」の下で、「財務省」や「日本たばこ産業(JT)」を中心に、葉タバコ農家やたばこ子売店、たばこ族議員が結束して、たばこの生産、製造、流通をの既得権をがっちりと固めた利権構造を暴いた一冊となっている。この日本独自の利権構造の為に、日本が「たばこ規制枠組み条約」に則った国際基準のたばこ規制が実現できない原因であるとしている。したがって、「たばこ事業法」と「日本たばこ産業株式会社法」の二つによって、両者が癒着し、談合して、たばこ利権を構築し、「国民の健康と福祉の向上」の大きな妨げになっているとしている。その為の構造改革の断行を提言している。以下、各章の簡単なまとめです。第1章「日本特有の異常なたばこ利権構造」と題して、日本には、たばこ利権を守る為の財務省が「たばこ事業法」「日本たばこ産業株式会社法(JT法)」「たばこ耕作組合法」の三つの法律をもって、たばこの利権を守っているとしている。これは、自由な競争による市場経済から隔離された「社会主義的経済そのもの」としている。また、JTは、「財務省の有力な天上がり機関」であり、人事面での癒着は構造的なものであるとしている。第2章「日本が守れない国際条約がある」と題して、世界では、WHOたばこ規制枠組み条約(FCTC)があるが、日本は、ガイドラインを示さず、「世界で進む受動喫煙防止対策から遅れている」としている。その為、この条約を守らないのは、「国際法違反」であり、「憲法違反である」としている。そして、東京オリンピックの成功には、「受動喫煙防止条例」は必要であるとしている。第3章「たばこ税とJT配当金をめぐる財務省の内幕」と題して、たばこ税は「大蔵省専売局」の独占された管轄下にあり、財源確保の為に貴重なものであったとしている。また、JT配当金は、財政投融資の隠し財源になっており、問題であるとしている。そして、たばこは健康を害するので、主務大臣は、「厚労大臣」であるべきなのに、「財務大臣」になっているのは、二つの理由がある。一つ目の理由は、「使い勝手の良いたばこ税を手放したくないから!」である。もう一つ目の理由は、「JT株の配当金を財政投融資に繰り入れ、特別会計として、自由に流通させる為であるから!」としている。第4章「財務省を自在に操るJT」と題して、1985年からずっと、JTの社長は財務省出身であったが、2012年に会長と社長はJTの生え抜きに変わった。財務省とJTの暗躍がある。しかし、隠れ天下りというものがあり、JTのファミリー企業に財務省の天下りが行われれば、わかりにくくなっているとしている。また、財務省は、JTにたばこ産業を「丸投げ」していきたので、財務省には、たばこの小売の資料はなく、JTの資料に頼らざるをえなくなり、「JTの思うがまま」になっている。第5章「葉たばこ農家は生き残れるか」と題して、たばこは、政府による「経済合理性を欠く全額買い入れ」が行われたので、競争力がなくなり、国際的にも割高になっている。また、外国産たばこに切り替えようと目論むJTの経営があり、企業としての利益を拡大しようとしている事が問題であるとしている。そして、JTは、たばこの製造を海外にシフトして、25あった工場を7つまで減らしているとしている。第6章「たばこ流通もJTの独断場」と題して、政府もたばこの流通については、全く把握しておらず、「JTに丸投げ」している状態であるとしている。なぜなら、JTは、たばこ小売店に関する「情報を隠蔽してきたからだ」としている。なぜ、隠蔽してきたかと言えば、「たばこ小売店の存続」こそ、たばこ販売のを継続するためのJTの隠し技の一つ、奥の手でだからである。たばこ小売店の主な収益は、「たばこの自動販売機」であるとしている。そして、JTは1999年から2001年まで、世界の趨勢から反するように、自動販売機の倍増作戦をし、アメリカのたばこ規制に対抗する為に、「たばこを規制すれば、失業者が増大する!」というカウンターパンチを打つ試みだったとしている。最後に、JTは、JT製造のたばこを吸わない扱わない販売店がたばこの小売りをの免許を取得するのは、現実的には無理だとしている。なぜなら、「たばこ小売店設置許可業務」は、「JTに丸投げしているから」である。実質的にJTの特権なのであるとしている。しかし、先進国では、たばこの自販機は、原則、禁止しており、日本でも全廃するべきだとしている。第7章「巧妙なJTの世論調査」と題して、JTは、アメリカなどの他国の政府に干渉するロビー活動をしているので、問題であるとしている。また、JTは、マスコミ報道番組のスポンサーになり、たばこによる健康被害を断ち切るという世論を構築できないように、世論調査をしている事を指摘している。そして、「喫煙科学研究財団」という「JTの、JTによる、JTのためのシンクタンク」は、早く廃止するべきだとしている。なぜなら、この財団は、「喫煙と重大疾病の因果関係は、はっきりしない」という時代遅れの主張を行い、世論をミスリードをする装置として、機能してきたからである。第8章「侵略するJTの海外戦略」と題して、たばこ産業には二つの種類があり、一つは、たばこ規制枠組み作り、人類の健康増進を図るためのたばこ対策を振る、WHOである。もう一つは、世界第三位のたばこメーカーであり、日本たばこ産業(JT)の海外事業を担うJTインターナショナル(JTI)である。JTIは、驚異的な海外拡張をとげ、世界70か国に事業所を抱え、28か所の生産・加工工場を持ち、従業員は、世界で2万4000人を超え、100ヶ国以上の国籍の人々が働いている。まさに、多様性を誇る多国籍企業である。また、JTは、大胆な海外M&Aによる国際戦略を持ち、世界企業家を目指したとしている。そして、先進国で喫煙が減った分を発展途上国でたばこを売ろうとしているとしている。最後に、フィリップモリス(PMI)は、喫煙の害を認めている事に対して、JTは、財務省との癒着から認めていないとして、両者の喫煙に対する態度が全然、違うとしている。第9章「たばこ産業の構造改革を断行せよ」と題して、4つの改革案を提示している。1:「受動喫煙禁止条例の制定」により、効果として、公共スペースの禁煙・完全分離の推進ができる。2:「たばこ事業法・JT法の廃止」により、効果として、財務省とたばこ利権の崩壊。JT完全民営化による行政・財政改革の推進。葉たばこ農家、たばこ小売商の転作、転業の支援。3:「たばこ規制法の制定」により、効果として、厚労省にたばこ行政を移管。FCTCの方針に則ったたばこ規制の実現。4:「たばこ税増税によるたばこ価格の大幅値上げ」によって、効果として、たばこ消費減少による喫煙率の低下、健康社会の実現。たばこを原因とする疾病減少による医療費削減。の以上、4つの構造改革により、健康社会を実現できるとしている。 JT、財務省、たばこ利権 ~日本最後の巨大利権の闇~ (ワニブックスPLUS新書) 関連情報

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教科書には書かれてない歴史の真相と深層。興味深く、楽しく読みました。 生麦事件の暗号 関連情報

松沢成文 甦れ! 江戸城天守閣 (ヨシモトブックス)

レビューの高評価を見て購入しました。お城に興味のない私でもとても夢のある話だと感じ、本当に購入して良かったです。江戸城天守閣の再建をきっかけに周辺の地域を巻き込んで東京を活性化させる発想も新鮮で面白かったです。東京オリンピックの目玉になることも間違いなく江戸城天守閣実現に向けて動き出したら普段寄附をしたこともない私でも応援したい気持ちになりました。ぜひ、実現に向けて頑張ってほしいと思いました。 甦れ! 江戸城天守閣 (ヨシモトブックス) 関連情報




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