室内楽をひくときの注意、すべて金言がつまっています。今の遊び人演奏家とは違う、品格のあった人。ものすごく尊敬しています。 20世紀の巨人―シモン・ゴールドベルク 関連情報
出版社の説明ではプロの演奏者向けとなっていて一瞬途惑ったが手に取ってみるとそうでもなくパート1と同じくシモン・ゴールドベルクという人に対する畏敬に満ちていて素人でも十分堪能出来る。山根美代子さんが非常に魅力的。 シモン・ゴールドベルク講義録―DVD Book 関連情報
シモン・ゴールドベルク~フィリップス・レコーディングス(8枚組)
名ヴァイオリン奏者シモン・ゴールドベルクが1955年に結成したオランダ室内管弦楽団のフィリップスでの録音集です。CD1〜4が弾き振り、CD5〜8が指揮です。内容と寸評を記します。CD1・バッハ/VLN協奏曲1番、2番、2つのVLNのための協奏曲(1975年5月)・ハイドン/VLN協奏曲ハ長調(1974年10月)※初CD化シモン・ゴールドベルク(VLN),トーマス・マグヤー(第2VLN)バッハは、リズムがキチっとしたやや古風な演奏ですが清々しい印象で、ヴァイオリン独奏はとても端正。ハイドンでの独奏は美音の極致。音もリアルで、1909年生まれのゴールドベルクは65歳ですが全然衰えなど見せず、一音一音を丹念に弾いている感じが伝わってきます。ゴールドベルクは晩年「納得した録音はハイドンの協奏曲だけ」と語っていたそうで、この録音がその演奏かはわかりませんが(旧録音もあるので)、素晴らしいハイドンです。CD2・バッハ/ブランデンブルク協奏曲1番,2番,3番(1958年4月),4番(1958年5月)シモン・ゴールドベルク(VLN),Haakon Stotijn(oboe1番,2番),Ad Mater(oboe1番),Wim Knip(oboe1番),Thom de Klerk(bassoon1番),Jan Bos(horn1番),Iman Soeteman(horn1番)Willem Groot(trumpet2番),Hubert Barwahser(flute2番,4番),Leo Oostdam(flute4番)このバッハもCD1の協奏曲同様古風な演奏ですが重たい感じはなく、いつまでも聴いていられる演奏です。1950年代の演奏なので独奏ヴァイオリンの技巧もやや派手めで冴えています。CD3・バッハ/ブランデンブルク協奏曲5番,6番(1958年5月)シモン・ゴールドベルク(VLN,viola),Hubert Barwahser(flute5番),Janny van Wering(harpsichord),Margaret Major(viola6番),Piet Lentz(viola da gamba6番),Hans Bol(viola da gamba6番),Anthony Woodrow(double bass6番)・ハイドン/ヴァイオリンとハープシコードのための協奏曲へ長調(1974年10月)※初CD化シモン・ゴールドベルク(VLN),Janny van Wering(harpsichord)・クリスティアン・リッテル/カンタータ:O amantissime sponse JesuAafle Heynis(contralto)ハイドンの協奏曲が素晴らしいです。特に第2楽章、ヴァイオリンとハープシコードの独奏のやりとりが、若いカップルのおしゃべりのようで明るく楽しい。ハイドンを聴く悦びの真骨頂。クリスティアン・リッテルは18世紀の作曲家で、本カンタータは、弦楽アンサンブルとオルガンを伴奏に、コントラルトの独唱小アリアが連続する、約13分の曲です。CD4・ヴィヴァルディ/「四季」,VLN協奏曲イ短調op9「ラ・チェトラ」-NO5(1973年10月)シモン・ゴールドベルク(VLN)とても真面目で端正な「四季」です。リズムも崩さず、ヴァイオリン独奏もケレンを嫌ったゴールドベルクらしい感じ。録音も良くスタンダードな「四季」の名演。CD5・ハイドン/ピアノのための協奏曲ニ長調(1960年7月)・モーツァルト/ピアノ協奏曲12番K414(1960年7月)・モーツァルト/ピアノと管弦楽のためのロンドK386(1960年7月)イングリッド・ヘブラー(P)・ハイドン/ハープシコードのための協奏曲ニ長調(1974年10月)※初CD化Janny van Wering(harpsichord)古典派のスタンダードな演奏。サラっと快速、緩楽章も決してもたれません。ヘブラーの独奏も女性モーツァルト弾きらしい素直な演奏。ハープシコード協奏曲はピアノ協奏曲と同じ曲です。録音が新しいためもあってとても良い雰囲気。特に第2楽章が美しい。CD6・ハイドン/ホルン協奏曲ニ長調(1958年9月)※初CD化Adriaan van Woudenburg(horn)・ハイドン/オーボエ協奏曲ハ長調(1956年10月モノラル)Haakon Stotijn(oboe)・モーツァルト/協奏交響曲(管楽器のための)/K297b(1960年12月)Haakon Stotijn(oboe),Bram de Wilde(cl),Jan Bos(horn),Thom de Klerk(bassoon)ハイドンは、ウィーン古典派の教科書のような曲。それをゴールドベルクは実直にキチっと指揮しています。モーツァルトは、偽作の疑いもある曲だそうですが録音の多い人気曲で、モーツァルトらしい美しさを持った佳作。管楽器のソリスト陣もみな達者です。CD7・ハイドン/交響曲39番(1955年10月モノラル)※初CD化,44番「悲しみ」(1958年9月)※初CD化・モーツァルト/交響曲21番K134(1958年6月)※初CD化・モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク(1958年4月)3曲の交響曲は、ハイドンに始まり、マーラーで終わる「ウィーンの交響曲」という生涯の中学生時代を見ているような1枚。ハイドンの2曲では、この中学生は優等生タイプで暴れたり羽目を外したりしません。モーツァルトでは青春の香りが漂います。また、ハイドンの44番とモーツァルトの21番はほぼ同時期の作品(1771〜2年)なので比較も楽しいでしょう。「アイネ・クライネ〜」はやや速めのテンポ、小人数楽団のメリットも活きて、とても爽やかな名演。CD8・ハイドン/交響曲57番(1958年10月)※初CD化・モーツァルト/交響曲29番K201(1958年10月)※初CD化・ハイドン/交響曲83番「めんどり」(1960年12月)※初CD化・モーツァルト/交響曲5番K22(1961年6月)※初CD化CD7では中学生だった「交響曲」君も青年になった雰囲気。少しのユーモアも交えて、小編成オケでやや速めのテンポ、爽快な演奏です。ここでもハイドンの57番とモーツァルトの29番は同年(1774年)の作品です。K22はモーツァルト10歳のときの作品。3楽章、約7分の曲です。指揮:シモン・ゴールドベルク、オランダ室内管弦楽団音質は、録音が1955年から1975年・・と時期の幅がありますが概ね良好。バッハの協奏曲を1992年のフォノグラム国内盤CDと比較しましたが、本CDのほうが音がリアル。「四季」「アイネクライネ〜」を1999年のユニヴァーサル国内盤と比較しましたが、ほとんど変わりませんでした。ゴールドベルクのヴァイオリンの端正な味わいが存分に味わえるし、指揮のみの演奏も、モダン楽器小編成オケによる爽やかな演奏でウィーン古典派がまだ若い時代の交響曲を楽しめます。また、ご覧のとおり初CD化の録音、単売では入手できないものも多く、このBOXはお薦めです。 シモン・ゴールドベルク~フィリップス・レコーディングス(8枚組) 関連情報
日本で没したポーランド出身の名匠、シモン・ゴールドベルクの非商業録音の詰め合わせ。これらの録音は、かつてゴールドベルク・メモリアル・ファンドからリリースされていたものが多く含まれるが、ブーレーズとのストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲のように、恐らく権利関係からか収録されていないものもある。リリ・クラウスとの共演で広く知られたゴールドベルクだが、モーツァルトだけでなく、新ウィーン楽派まで守備範囲にしていたことがわかる。それもちょっと冒険してみたというレベルではなく、しっかりと手のうちに入れた堂々たる演奏である。例えばバルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、作曲者のハンガリー人としてのエスニシティを感じさせることなく、作品の強固な造形を余すところなく表現している。その音色やフィンガリングは、被献呈者であるメニューインのような技術上の限界を感じさせることはない。 「シモン・ゴールドベルク・エディション1」 関連情報