ねじめ正一 商品

ねじめ正一 ぼくらの言葉塾 (岩波新書)

 長く「ことば」をなりわいにしてきた方だからこそ書けたであろう、エッセイ・アンソロジー。
 歌、詩、俳句から例をとり、豊富な経験と独自の感性から言葉の味わい方、楽しみ方を縦横無尽に語りつくす。
 「自分の言葉を発見する」「言葉の関節を外す」「こわして作る」「声で遊ぶ」など、ポイントというかコツを一つ一つ伝授。
 単なる形式や理屈では伝わらない、ハートにじわじわ響く言葉の使い方が浮かび上がる一冊だ。 ぼくらの言葉塾 (岩波新書) 関連情報

ねじめ正一 認知の母にキッスされ

認知症の家族がいる家庭でのごくごく日常の様子が描かれています。同居して介護する人、毎日通う人、入院中、家庭での介護、施設での介護、いずれにしても笑顔を忘れてしまいます。他人ごとではなく、明日は我が身という思いで読みました。長寿であるため、子どもが親の介護といっても老老介護です。場合によっては子供の方が体調不良であったりすることも多いです。筆者は正直に、素直に飾らずにみどりさんや彼女を取り巻く周りの人とのかかわりを表現しておられます。それぞれの立場で様々な思いで日々過ごされていることを感じます。みどりさんのうんちやおしっことの格闘、喚き続けるみどりさんの思いを受け止めるやさしさ、本当によくわかります。とてもとても私にはできそうにないのでまたまた、つらくなります。できるだけそっとより添っていこうと思います。それにしても認知症は不可思議です。すべての記憶が忘れ去られるのではないのです。性格もよいところが見えればよいのですが決してそんなことはありません。どこまでが病気なのかわからないことばかりです。理解してもらえないことで認知症の人も辛いのでしょうが、身近な家族も本当に辛いです。  認知の母にキッスされ 関連情報

ねじめ正一 高円寺純情商店街 (新潮文庫)

一体これはなんだろう。サラサラ、ザワザワ、ソワソワ、ワクワク、イライラ、ハラハラ、ユラユラと、なんか文字が微かな振動をなし、それでもはっきりと耳にも肌にも伝わり、内側が反応して一緒にこだまするようなこのカンショク。まったくこの作品なんかの原理を違反している。読者にその気持ちをまずもたせてから意図する効果をはかるという一般の作法を反している。つまり内から攻めるのが普通でしょう。それが本作はぜんぜん反対で、外から攻めてくるのではないか。読んでいると、皮膚が文字と共鳴して、心が微妙にむずむずとしてくる。

かますの干物にハエが産みつける卵についての一言を読んだだけで、小豆の仲良く並べたような目をする毛ダラレの蠅を、完全に想像してしまった。参った。また、男性にしか共感できないかも知れないが、収録の「富士山の汗」のボリボリ感は絶品。

管見ながら、商店街から溢れる生活感と人間味を感触的に味わえるのは、本としてこれしかないと思えるほどお薦めだ。
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ねじめ正一 落合博満 変人の研究

ねじめ正一は野球ファンだが,選手のファンであって,球団のファンではない。ふつうの野球ファンは,だいたいが球団のファンだから,なぜねじめ正一がこんな本を書いたのか,そのわけは,ほとんど理解できないと思う。ねじめ正一は,その「ふつうでないこと」ゆえに,「ふつうでない」落合博満に惹かれるのである。

「私にとって,この世の中でいちばん尊敬するのがプロ野球選手であるからして,テレビの画面でプロ野球選手と同席しているスポーツライターと呼ばれている人を見ていて,ほとんどが不遜に見えて不愉快である。プロ野球選手に対する尊敬の念がまったくなく,一般論しか述べることができないのに,あたかもいっぱしのことを語ったような顔つきをされてもちゃんちゃらおかしいのである」

スポーツライターだけではない。気楽にネットで自分の意見を披露できる現代は,誰もがプチ評論家,プチスポーツライターになりうる。ねじめ正一は,言葉のプロとして,うわっついた言葉が許せないのであり,そのような言葉に陥らないためには少なくとも,「対象」に対して「尊敬の念」をもたなければならない,と言いたいんだろう。ただ,過度な尊敬の念をもとにした研究はやっぱり難しい。本書は,落合博満への美しいラブレターとして,読まれるべきである。 落合博満 変人の研究 関連情報

ねじめ正一 うがいライオン (チューリップえほんシリーズ)

 動物園のライオンくん。自分はライオンだから、ライオンらしくあらねばといつもがんばっているけれど、とうとう疲れて、わざとライオンらしくないことなどをしてみるけれど、それで受けすぎると、それもなんだか困ってしまって、またがんばってライオンらしくあろうとするけど、それだと受けなくなってしまって…。
 ねじめの「笑い」を長谷川がどう「笑い」絵に仕立てているかを堪能してくださいね。(ひこ・田中)
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