マレーネ・ディートリッヒ 商品

マレーネ・ディートリッヒ ディートリッヒ〈上〉

モロッコ、オーソン・ウェルズの黒い罠、という映画を見てものすごいインパクトを受けました。NHKのドキュメンタリーで、ナチスに反発して米軍の慰問にいったことを知り、また、淀川長治さんの昔の文章で、この女優は一人娘や家族が大切で、離婚も浮いた話もないらしい・・・と書かれているのを読みました。いったい、どれだけしっかり者の人間らしい才女なのであろうか、と思い、まず、自伝を読みました。大女優なのに、人間的で気さくな暖かい人なんだ、仕事に対しては自分にとてつもなく厳しいんだ・・・とますます尊敬!毅然と厳しい、ということを見習おう、と思っていたのですが・・・

この、実娘マリアの評伝を読んで・・・驚愕のディートリッヒの行状!!!を知りました。
よく、女の子を見てると、小さい時から自分が中心になっていたい、服装とか化粧、ヘアスタイルなどが一番大切で、ちやほやされないと気が済まない女の子、というのが、たまにいると思うのですが・・・たぶん、ディートリッヒはつまり、それだったんだと思います。今は、俳優も人間的な面がないと人気が出ないですが、ハリウッドにおいて俳優が一般人的な面を出すようになったのは、アメリカン・ニューシネマ以降です。それまでは、世間がどんなに不況のどん底にあろうと、夢のような王侯貴族のような美男美女でいるのが、ハリウッド・スターであったわけで、ディートリッヒはそのころの人だったので、また、本人もそれこそが彼女の理想だったので、それを実践していたのでしょう。

しかし、自伝に書いたこと、ファンや世間が見ていたことは、すべて取り繕われた嘘だったのです。自伝で、確か、ダイエットはしたことない、と書かれていたと思うのですが、このころから、上等なレストランで食事をして(貴族のように、ちょっとでも気に入らなければ店の従業員を叱り飛ばし、メニューを吟味するのにものすごい時間をかけ・・・それは、夫の趣味であったようですが)、食べたあと、トイレに行って、娘に番をさせて、ゲーゲー吐いて!いたのです!
それどころか、マリアを身ごもって以来、夫とはセックスはなし、そして、ジョセフ・フォン・スタンバーグに見出されてからは、彼が恋人で、その後、数々の恋人を持ちますが、望まれればすべて、セックスしていたのです!自伝には、私はセックスはよくわからないの、と言っていたと思いますが・・・だいたい、スタンバーグの妻が、彼女を不倫のようなことで訴えるわけですが、それに怒り狂うディートリッヒですが、実態は、ほんとうに不倫していて、それでも、このスターにそんなことをいうなんて、と怒っていたのです・・・作家のレマルク、あの、ユル・ブリンナー!、そしてもちろんジャン・ギャバン、ほかに、掃いて捨てるほど、米軍の将校もケネディも・・・寝た男数知れず(レマルクはインポであったらしいですが)、相手のにおいのついたパンティをハンドバッグから出して、マリアの夫に嗅いで、というような、驚愕の品性の女性であったのです!!!同性愛の相手もいました。

見た目、を完璧にしなければ気が済まない完璧主義者なので、衣装のこと、そして自分の映画での見た目には、すごい熱心さで取り組んでいます。そのために、動物が殺されようが、衣装を自分のものにしてしまおうが・・・もう、妥協もない代わりに遠慮もありません。

ディートリッヒは結婚していることを隠していたわけもないのですから、恋人たちは、勝手に好きになり、勝手に傷ついて、ある者は去ったのです。

しかし、まず、夫ですね・・・普通妻がセックスを拒否し、さらにほかの男に惚れてそちらといい仲になってしまったら、離婚するんでしょうが、宗教上の問題もあったのでしょうか、離婚しませんでした。
で、公認の恋人ターミという、なんかロシアからの避難民のパスポートみたいなものしか持っていないかわいそうな女性と、つきあうようになるのですが・・・
彼女が犠牲者です。つまり、ディートリッヒの世間体を取り繕うために、ターミは何回妊娠しても中絶させられていたのです。そして、いつもマリアの家庭教師、ということになっていたのです。
マリアも、ディートリッヒの話の聞き役、そして衣装を着替えさせ、様々な準備をする、使用人のような役割をし、学校にも行かせてもらえず、すべてディートリッヒの思うままにされました。でも、娘を愛している、とも世間にいうのです。
都合の悪いことはすべて周りのせいにし、巧妙に嘘をついて世間を欺き、自分をうまく売り込んでいたのです。自伝に書いたような、温かい女性像を演出していたのです。
結局妻に経済的に頼っていて男の沽券を守れなかった夫は、ストレスをターミにぶつけつづけ、弱いターミは、精神のバランスを崩し、ディートリッヒの差し金で精神病院による投薬を繰り返され、妊娠を錯覚するようになり、麻薬にも手をだし
電気ショックをされるようにまで、なるのです・・・そして最後、枯れ果てて死んでいきました。これは、長年にわたる、虐待死、といえるでしょう。

私が一番知りたかった、夫や娘を置いて、いくらなんでもどうして戦場にいけるのか、という点ですが、もう、鼻っから家族のことなんか考えず、自分の好きなように行動してきたのがディートリッヒだったのです。
そして、彼女が戦場に行っていたころ、それまで、自分のために生きる、自分を大切にして生きる、という人間の生きる基本、を確立しないで育ってきてしまったマリアは、それこそアイデンティティが確立しないまま20代をむかえ、
母が戦場に行ってやりたい放題(ショーで慰問するだけでなく、兵隊さんのセックスのお相手もしていたそうです)の間、人生の生き方がわからない絶望で、酒と男に溺れる生活になっていたのです・・・

マリアは愛する夫に出会えて、その後、人間らしい人生を取り戻します。よかったー
マリアはティーンエージャーのころ、避暑地でケネディ家と知り合い、ケネディ家の子どもたちが、自由に発言ができて、自分の興味を持ったことをやらせてもらえて、なんて素晴らしい家族だろう、この家の一員になれるなら、右手の1本、
いや左手も、両足も切って差し出してもいい・・・とさえ、思ったのです・・・そんな風に思っていた、まだティーンエイジャーの女の子・・・

これだけ、周りの人間に犠牲を強いて、ディートリッヒが残したものは、映画とCD、ですね。これだけの人を不幸にして、美しい映像を残したことに、価値はあるか?
何年間もの、マリアとターミと、夫の苦しみ。
今でも、ドキュメンタリーでも、美談ばかりが放送されるのだから、彼女がいかに巧妙に自分の伝説を作り上げていたか、がわかります。

この本は、ディートリッヒの驚愕の行状がわかるわけですが、それだけでなく、娘マリアが、とても聡明な女性で、いかに孤独に、親がある種の強大な悪魔であった、その逆境に耐えたか、を知ることができます。文章もウィットもあり、
頭がよく、本当に、胸の悪くなるようなことが書かれているのに、その筆の視点が高尚であるために、興味をそそる、品性をたもった著作になっています。誰にも理解されず、世間のすべてが自分の敵である人物の味方、しかもその敵は自分の
母親・・・という地獄のような状況を、孤独に生き抜いた記録、です。なんか、誰にも理解されないつらいことがあるとき、マリアよりは、まだ楽だ・・・と自分を慰められます。マリアは、ディートリッヒは故意か不注意か、まだディーンエイジャーのころにレズの女性に預けられ、最初の性体験はレズの女に犯されたのです!マリアは彼女がレズであったのを母が知らないわけはないと思う、と書いています。マリアの感じでは、自分が夫や子供に興味を持たなくなるように、自分をレズにして
母にずっと仕えるようにしたかったのではないか、と感じる、と言っています。

表ざた、法には触れてないにしても、生き地獄が繰り広げられていたのです。特にターミとマリアに。そしてある意味夫にも。

こんな、品性のないディートリッヒをスタンバーグやレマルクやたくさんの知的な男が愛したのですから、男の愛というのは、よくわからないです。 ディートリッヒ〈上〉 関連情報

マレーネ・ディートリッヒ 舞台恐怖症 [DVD]

サスペンスの帝王ことヒッチコック監督作品に大スターのマレーネ ディートリッヒが主演をした注目すべき名作。当時の彼女の年齢を知るとこの作品での彼女の美しさ、若さ、妖艶さには驚くばかり!、彼女は大物女優を貫禄十分に好演をしているのですが、ステージ場面で歌いながらソファーに横たわり妖艶なポーズを!その美しさにウットリとしてしまいました、内容も実に濃厚で興味深く更にこの低価格ですから文句なしにお勧めですよ!。 舞台恐怖症 [DVD] 関連情報

マレーネ・ディートリッヒ マレーネ・ディートリッヒの全て

マレーネ・ディートリッヒの名唱の数々が、デジタル・リマスターで装いも新たに登場した。
音源の大部分がモノラルの時代であるにも関らず、演奏も彼女の唄声もひたすら瑞々しい。丁寧なリマスタリングが施されており、曲目もCDの限界まで詰め込んだ何とも贅沢な逸品だ。
本当は3曲目『フォーリング・ラブ・アゲイン(嘆きの天使)』、この曲のイントロがカットされて了ったのが非常に残念。この曲はオープニング・イントロの響きが極上のものであるため期待していたのだが、本CDでは省かれ、間奏のピアノから音源が始まっている。
しかし、他の作品を全て聴いたが全体に丁寧なリマスターが成されており、より多くの曲を聴衆に届けたいという意向もあるのだろう。
3曲目以外、筆者は非常に満足したため5つ星を付けた。名曲が失われて久しい現在、多くの方に聴いて頂きたいマテリアルである。購入して損をする事はないだろう。殊に23曲目『ベルリンスーツ・ケース』はディートリッヒそのひとの生き様を思い起こしつつ聴いて頂きたい。 マレーネ・ディートリッヒの全て 関連情報




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