なぜかパッケージはカラーだが白黒映画です。里見とんの同題の原作(1923)の三度目の映画化で、一度目は無声、二度目は1934年で、作中の不良ハーフ少年西山普烈のモデルで、罪におちるところを里見や久米正雄が救った江川宇礼雄が普烈を演じているのでこれが観たかった。 さまざまな女と関係して、そのたびごとに真心で愛しているのだとうそぶく主人公・藤代信之は佐野周二だが、そういうのは戦後では通用しない(1957年)。ので、そのへんはさっと通り過ぎて、藤代が胃がんで余命いくばくもないということを早いうちに示し、あとは高倉健の演じる普烈の、西洋人マッケンゼンの現地妻との恋と、現場を発見されてマッケンゼンに撃たれ撃ちかえす、で藤代が弁護士として初めて弁護に立つ、という構成。全体に暗い。原作は、藤代が死ぬのが関東大地震の朝ということになっているが、ここではチャイナ戦争勃発の日の朝とされている。 まあしかし映画のDVDが出ているのに原作が品切れというのはいかにもさびしい。 多情佛心 [DVD] 関連情報
さんざん期待に期待をさせた「紅孔雀の秘宝」が、ついに登場します!だけど、当時の子供たちなら兎も角、今どきの少年たちにはチョイト期待はずれの結果に終わるかも知れませぬナァ。もちろん敗戦後10年しか経っていないという時代背景も考慮しなければなりませんが、やや残念さんな結末だと感じる人も少なくはないのでは? 新諸国物語 紅孔雀(5)‾完結篇・廃墟の秘宝 [VHS] 関連情報
同じ原作者による月光仮面の覆面ヒーローの系列で、月光仮面に並びシンボルとして完成した姿を持つと、今でも確信してます。印象深いのはやはり、当時の社会問題・公害問題を真正面から造形化したモンスター達。彼らは堂々とニューヨークのエンパイアステートビルに本拠を構えてると言うのがまた型破り。そして見てた人は必ず強烈に覚えてるだろう主題歌とエンディングの歌。いきなり日本を守護する価値など無いと断言するのを、毎回聞かされる「オープニング」はショックがあり、敵であるモンスター達がストレートに己の存在と欲求を歌い踊りまくる「エンディング」は主人公の一心よりも幸福そうに見えました。もう、こんな対比を持つ番組を作られる機会は無いかもしれません。そんな作品であるコンドールマンのDVDでの登場は素直に感謝です。 コンドールマン Vol.1 [DVD] 関連情報